運転免許って取り消しになったらどうなるの?理由は?処分から再所得の流れを徹底解説!
時々耳にする「免許取消処分」。
どんな違反で何点の違反点数を付けられると免許取り消しになってしまうのか、また免許取り消し処分を受けた場合の手続きや対応、そして取り消し後に免許を新しく再取得するための流れを徹底解説します!
「免許取り消し」とは?
免許取り消しとは交通違反を繰り返したことによって、運転免許を没収される行政処分で、略して「免取り」と言われることもあります。
この免許取り消し処分を受けると、自動車を運転することが出来なくなり、運転した場合は無免許運転になります。
どのような場合に免許取消処分を受けるのか、再取得のためにはどうすればいいのか解説していきます。
免許取り消しは交通違反に対する1番重い処分
交通違反や交通事故を起こした時に付けられる点数を違反点数といい、違反や事故の重さによって点数が決められています。
違反点数は違反を起こす度に累積され、規定の点数に達すると「免許停止処分」や「免許取り消し処分」を受けます。
免許取り消し処分は交通違反に対する処分としては最も重いものです。
免許の取り消しは完全に免許がない状態なので、また一から教習所に通うなどして免許を取り直さなければいけません。
免許取り消しに比べて軽い行政処分として「免許停止」があります。
免許停止(いわゆる「免停」)とは一定期間運転できない処分で、免許取り消しと違い免許停止期間が終了すれば再び運転することができます。
停止期間は違反点数によって30~180日と決められています。
免許停止処分を受けた場合は、「停止処分者講習」を受講することで免許停止期間を短縮することも出来ます。
交通違反をした場合に科せられる処分には「行政処分」と「刑事処分」があります。
行政処分は都道府県の公安委員会による処分のことで、刑事処分とは罰金や懲役・禁錮のような処分をいいます。
免許取り消しの場合は罰金を支払う「刑事処分」と免許取消処分である「行政処分」の両方の処分を科せられることになります。
免許取り消しになる理由
交通事故や交通違反で規定まで点数が累積した場合以外にも、次のような場合にも免許取り消しの対象となります。
一定の病気が判明したとき
・統合失調症、躁うつ病、てんかん、再発性の失神、無自覚性の低血糖など運転に支障を及ぼすおそれがある病気
・認知症、重度の眠気の症状を呈する睡眠障害、自動車等の安全な運転に必要な認知、予測、判断または操作のいずれかに係る能力を欠くこととなるおそれがある症状を呈する病気
・アルコール、麻薬、大麻、覚醒剤等の中毒者だと判明したとき
免許取り消しになる条件
運転免許には点数制度というものがあり、交通違反や交通事故に点数を付けて、その過去3年間の累積点数等に応じて免許停止や免許取消等の処分を行う制度です。
点数制度は
・一般違反行為に付けられている基礎点数
・特定違反行為に付けられている基礎点数
・交通事故を起こした場合の付加点数
・あて逃げ事故の場合の付加点数
があります。
※特定違反行為は、故意に人を轢き殺す「運転殺人等」、故意に人を轢いて負傷させる「運転傷害」など特に悪質で危険な運転者と見なされる違反行為のことです。
付加点数は、比較的軽い交通事故や不注意の程度によって加算される点数です。
具体的な項目と点数は以下の通りです。
免許の取消対象の累積違反点数は前歴回数によって異なります。
前歴とは過去3年以内に免許停止や取り消し処分を受けた回数のことです。過去にも処分を受けたことがあるにも関わらず、違反を繰り返す運転者には厳しくなります。
例えば、前歴「ナシ」のとき免許取り消しとなる点数は15点ですが、前歴「1回」のときは10点で免許取り消し処分となります。
免許取り消しとなる代表的な違反と点数
実際、どのような交通違反を起こすと免許取り消しになるのでしょうか。
免許取り消しになる累積の違反点数は下記の表の通りです。
前歴 | 0回 | 1回 | 2回 | 3回以上 |
点数 | 15点以上 | 10点以上 | 5点以上 | 4点以上 |
前歴ナシの方が免許取り消しになるのは15点以上ですが、例えば「0.25mg/リットルの酒気帯び運転」では13点が加算されます。
これだけでは免許取り消しとはなりませんが、同時に「20~25km/hの速度超過」の場合は2点が加算されるので、累積で免許取り消しとなってしまいます。
前述の通り違反点数は過去3年間の累積点数のため、これまでに「信号無視」2点、「追い越し違反」2点など加算されている場合は、あと11点の違反で免許取り消し処分です。
また、上の表の通り前歴が1回の場合、免許取り消しとなる点数は10点以上です。
つまり、「0.25mg/リットルの酒気帯び運転」で13点取られた時点で免許取消処分ということです。
さらに特定違反行為である「運転殺人等」は62点ですので、前歴に関わらずこの時点で一発免取となってしまいます。
知っておきたい免許の「欠格期間」とは?
免許取り消し処分を受けた場合、また新しく免許を再取得することになりますが、取り消し処分を受けてすぐ取得することは出来ません。
再取得のためには一定期間が経過する必要があります。
この期間を「欠格期間」といい、交通事故や交通違反の程度によって決められています。
欠格期間が明けないまま教習所に通っても免許取得は出来ませんし、入校すら出来ないこともありますので注意しましょう。
欠格期間中は免許が再取得できない
免許を取得できない期間=「欠格期間」は以下の表の通り、前歴と累積点数で決まります。
・一般違反行為の場合(1~5年)
前歴 | 欠格期間 | |||
なし | 1回 | 2回 | 3回以上 | |
15~24点 | 10~19点 | 5~14点 | 4~9点 | 1年 |
25~34点 | 20~29点 | 15~24点 | 10~19点 | 2年 |
35~39点 | 30~34点 | 25~29点 | 20~24点 | 3年 |
40~44点 | 30~34点 | 25~29点 | 20~24点 | 4年 |
45点~ | 40点~ | 35点~ | 30点~ | 5年 |
・特定違反行為の場合(3~10年)
前歴 | 欠格期間 | |||
なし | 1回 | 2回 | 3回以上 | |
35~39点 | — | — | — | 3年 |
40~44点 | 35~39点 | — | — | 4年 |
45~49点 | 40~44点 | 25~39点 | — | 5年 |
50~54点 | 45~49点 | 40~44点 | 35~39点 | 6年 |
55~59点 | 50~54点 | 45~49点 | 40~44点 | 7年 |
60~64点 | 55~59点 | 50~54点 | 45~49点 | 8年 |
65~69点 | 60~64点 | 55~59点 | 50~54点 | 9年 |
70点~ | 65点~ | 60点~ | 55点~ | 10年 |
前歴なしの人でも特定違反行為の「危険運転傷害等」で被害者の治療期間が15日程度の場合、違反点数が45点~48点となるので、5年間は免許取得出来ないということになります。
欠格期間の確認方法
このように欠格期間は違反点数によって異なりますが、自分の欠格期間はどのように確認すればいいのでしょうか。
運転免許取消処分を受けると「運転免許取消処分書」が渡されます。
「運転免許取消処分書」には処分書が発行された日から「○年間を免許を受けることが出来ない機関として指定します。」という文言と、取り消し処分の内容が記載されています。
もし処分書を紛失してしまった場合は、自分が住んでいる都道府県の運転免許試験場にお問い合わせください。
免許取り消し後の再取得について
免許取消処分後に再取得するためには、取消処分者講習の受講、教習所への入校、一発試験などの手続きが必要です。
それぞれを詳しく見ていきましょう。
「取消処分者講習の受講」が必要
免許再取得のためには必ず「取消処分者講習」を受講しなければいけません。
受講後は「取消処分者講習受講修了証」が発行されますが、有効期限は1年間であることに注意しましょう。
取消処分者講習の受講タイミング
都道府県によって異なります。
いつでも受けられる県もありますが、仮免許証を取ってからでなければ受講できないところもあります。
詳しくは現住所のある運転免許試験場に問い合わせるのが確実です。
取消処分者講習の内容
2日間で計13時間
・運転適性検査の実施と指導
・自動車等による運転の適性診断と指導
・プロジェクターを使用した講義等
※実際に運転する項目がありますので、運転に適した服装で受講しましょう。
当然サンダル・ハイヒール・下駄などはNGです。
取消処分者講習の料金
30,550円(講習の第1日目に現金での納付が必要です。)
運転免許試験場や教習所で受講できますが、必ず事前の予約が必要ですので確実に予約しましょう。
予約時に必要な持ち物
・運転免許取消処分書
・運転免許取消処分書を所持していない場合は身分証明書(パスポート・マイナンバーカード等)
・代理人が予約する場合は、代理人の身分証明書・委任状・運転免許取消処分書
・外国人の方は在留カード・特別永住者証明書等
「公認教習所に入校」または「一発試験」で再取得
運転免許を再取得する方法は2つあります。
一般的なのは「公認自動車教習所に入校する」方法です。
おそらく初めて免許を取るほとんどの方が、教習所に通ったはずです。
再び教習所で一から教習を受けることになるので、約30万円の費用と最短でも2週間という期間はかかるものの、その分確実に免許再取得できます。
また、違反や事故を起こしてしまった自分を見つめ直す良い機会にもなります。
対して費用や時間をかけたくない場合は「一発試験」という方法があります。
これは教習所に通って教習する時間と費用をとことんカットし、運転免許試験場で試験を受ける方法です。
一発で合格できれば費用は1万円程度、日数は7日で取得可能です。
ただし、試験官は現役の警察官なので実際一発で合格することは滅多にありません。
しかも多くの人は自己流の運転になっていることが多くあり、技術面に問題はなくとも安全確認などの「法規走行」が出来ずに減点超過で不合格になることがほとんどです。
試験日も平日のみのため、平日に時間を作れない場合は一発試験という選択肢は無くなります。
免許取り消しに関してよくある疑問
免許取り消しについてよくある質問をまとめましたので、参考にしてください。
Q:自動車を運転中の違反で免許取り消しになったけどバイクには乗れる?
A:普通車と二輪の免許を持っている方が免許取り消しになった場合、普通車と二輪の両方が取り消しの対象となります。
免許取り消しとは「その車種の免許が無くなる」わけではなく「その人自身の免許がすべて無くなる」ことなので、当然バイクや原付にも乗ってはいけません。
Q:飲酒運転の車に同乗しているだけも免許取り消しになる?
A:2007年に飲酒運転の同乗者に対する罰則が新設されました。
運転者が飲酒していることを知った上で同乗した場合の同乗者も処分の対象となります。
行政処分である免許取り消しは、運転者が「0.25mg/リットルの酒気帯び運転」であった場合は、同乗者に対しても25点の違反点数が付けられ、免許取り消しになります。
Q:免許取り消しの状態で車を運転したらどうなる?
A:「無免許運転」となります。
すでに免許取消処分を受けていて前歴がある状態ですので、さらに重い処分が科せられます。
その結果、欠格期間も長くなり、免許再取得の道は遠ざかります。
Q:免許取り消しの処分が軽くなることはある?
A:免許取り消しが免許停止の処分に軽減されることはあります。
「意見の聴取」に出席した場合の申告内容によって免許取消処分が免許停止処分に短縮される可能性もあります。
具体的にはこれまでの違反の前歴や累積違反点数などにより、その人が「危険な運転者」かどうかが判断されます。
これまでの違反が比較的軽いものであれば猶予はありますし、ひき逃げや酒酔い運転を繰り返しているようであれば当然「危険な運転者」と判断され、処分が軽くなることはありません。
まとめ
「免許取消処分」を受けると自動車はもちろん、バイクや原付などすべての車の運転が出来なくなります。
また、違反点数によって免許を取得できない期間=「欠格期間」も発生します。
その結果、免許の再取得をするためには欠格期間が終了すること、取消処分者講習を受講すること、裁判所に出頭して罪に応じた罰金を支払うことなど、実に多くの手続きが必要となります。
もちろん免許は再取得可能です。
しかし、再取得には教習所に入校方法や試験場での一発試験という方法がありますが、いずれにせよ多くの費用と日数、手間がかかってしまいます。
免許取り消しにならないよう、法律とマナーを守る安全な運転をするように日頃から心がけましょう。