【仮免許の取得ガイド】試験内容と合格のポイントを解説!
これから運転免許を取得しようと思っている方は、道路を走っている自動車学校の車に「仮免許練習中」という表示を見た事がありませんか?この「仮免許」とは、普通に車を運転する免許とは、どう違うのでしょうか?このページでは「仮免許」とはどのような資格なのか、また取得する方法などを詳しく説明していきます。
仮運転免許とは?
車の免許を取得するために公道で運転の練習を行う場合には「仮免許」を取得しなければ運転することができません。
「仮免許」とは正式には「仮運転免許」といいます。
そもそも運転免許には3つの区分があり、自家用の自動車や原付自転車などを運転するための「第一種運転免許」、タクシーやバスなどのお客さんを乗せて運転するための「第二種運転免許」、そして「仮運転免許」となっています。「仮免許」は「第一種運転免許」を取得しようとする人が、練習や試験などのために公道を運転するのに必要な免許です。
仮免試験は「学科」と「技能」
仮免許を取得するためには、「学科試験」と「技能検定(修了検定)」の2つの試験があり、先に技能検定を受験し、両方の試験に合格しなければなりません。仮免試験を受験する前に、「効果測定」という学科のテストがあり、第一段階の学科教習の内容を理解できているかを測る模擬試験のようなもので、必ず1回は合格しておかなければいけません。また、技能教習の第一段階を修了し、運転の技能がしっかりと身についているのかを見てもらう「みきわめ」の教習を受け「良好」と判断されなければ、技能検定を受ける事はできません。
仮免許の期限は6ヶ月
仮免許を取得しても有効期限が6ヶ月以内となっています。期限があるうちに第二段階の教習を受け、卒業検定に合格しなければなりません。万が一、有効期限が切れてしまうと、再度、仮免許を取得するために仮免技能検定、仮免学科試験を受験し合格しなければなりません。もちろんその分の費用もかかってきますので注意してください。
仮免許証で運転する際の注意点
仮免許は正式な免許証ではないため、教習所内はもちろんですが公道で運転する際には守るべき注意点があります。
・必ず仮免許証を携帯する
免許証と同様に、路上で運転する場合は必ず仮免許証を携帯する必要があります。
・試験や路上運転の練習以外で使用しない
仮免許証は本免許を取るまでの「仮」の免許であるため、ドライブなどの目的で使用してはいけません。
・運転する際は助手席に以下の条件を満たす同乗者を載せる必要がある
仮免許を持っていても自分1人で運転することはできません。以下の条件を満たす同乗者を助手席に乗せる必要があります。
①指定自動車教習所の指導教員
②練習中の車を運転できる第一種免許を通算で3年以上所有する人
③練習中の車を運転できる第二種免許を所有する人
つまり、練習のためであれば一種免許を通算3年以上所有している家族などに同乗してもらって練習することも可能なのです。
・仮免許練習の標識をつける必要がある
仮免許で路上で練習する際は、車両の見えやすい位置に「仮免許 練習中」と書かれた標識をつけなくてはいけません。
また、高速道路などでは同乗者がいたとしても運転することはできません。
仮免許を取得するための学科試験
仮免学科試験は、これから路上で自動車を運転するのに必要な知識を身につけられているかを判断するために行います。そのため、仮免学科試験で問われる内容は自動車の運転や道路交通のルールなどの基本的な事になります。それでは試験についての出題形式や問題内容などについて説明していきます。
学科試験の出題形式
仮免学科試験では、試験時間30分で問題数は50問あります。最後に見直しの時間を作るとしたら一問回答するのに30秒で答えても25分はかかりますので、あまり迷っている時間はなく、スピード感をもって回答しなければなりません。
出題範囲は第一段階の学科の問題で、全て○×式で回答をします。全50問の内、45点を取れれば合格となります。取得する免許が普通車のAT限定、MT、自動二輪であれば、仮免学科試験の問題は共通の内容です。
試験問題の内容
仮免学科試験では、ひっかけ問題や、紛らわしい言い回しの問題が多いので、受験までには教科書の例題や効果測定などで出題問題の傾向を理解しておく必要があります。道路標識や交通のルールなどを覚える記憶力や読解力も必要になりますが、何よりも、沢山の問題を回答して慣れることが大事なポイントです。
皆さんが特に間違えやすい分野は以下のようなところです。
・信号の種類と意味(手信号、黄の点滅、赤の点滅信号を含む)
・停止線が無いところの停止位置
・道路標識・表示の意味(駐車禁止と駐停車禁止、追い越し禁止と追い越しのための右側はみ出し通行禁止などの紛らわしいもの)
・通行禁止の場所
・二段階右折
・車両けん引時のルール
・歩行者のそばを通る時
・合図を行う場合と方法
・緊急自動車の優先
・追い越しの意味、禁止場所
・免許で運転できる車の総重量、最大積載量、乗車定員
また学科試験の内容は都道府県ごとに作られるため、その地域の道路状況に合わせた問題が出てきます。しかし難易度の差が生じないように考慮されていますので、全国どこの試験場でも難易度が変わる事はありません。
本免許試験との違い
自動車学校を無事に卒業し、運転免許試験場で受験するのが「本免許試験」です。
それでは「本免許試験」と「仮免学科試験」はどのような違いがあるのでしょうか?
主に異なる点は出題される学科の範囲、問題数、試験時間です。
まず、出題される範囲は、仮免学科試験は第一段階の学科で学んだ内容ですが、本免許試験では第一段階、及び第二段階で学んだ範囲から出題されます。仮免学科試験のために勉強した事も、本免許試験に出るので、今のうちにしっかりと勉強しておきましょう。
次に出題される問題数ですが、仮免学科試験では文章第50問に対して、本免許試験では問題数が増え、文章題90問とイラスト付きの危険予測問題が5問あり、これは1問につき3つの○×を回答し、3つとも正解でないと点数がもらえません。本免許試験の合格点は90点です。
最後に試験時間については、仮免学科試験は30分ですが、本免許試験は50分です。
そのため50分で95問の問題に回答しなければなりません。
もし学科試験に落ちたら?
もし仮免学科試験に不合格になってしまった場合、特にペナルティはありませんので再試験を受ける事となります。もちろん再試験でも合格できるまでは、仮免許を取得できないので、第二段階の教習にすすむことができません。
多くの自動車学校では、再試験を受けるには再受験料がかかります。再受験料は2,000円から3,000円程度ですが、もちろん再試験に落ちてしまった、再受験の度に受験料を払わなければなりません。
仮免学科試験の合格率はおよそ9割程ですが、再試験になってしまうと、試験も毎日行っているわけではないので、必然的に自動車学校に在籍する期間が長くなってしまいます。もし教習期限が近い方は注意しなければなりません。
仮免許を取得するための技能検定
仮免許の技能検定とは、正式な名称は「修了検定」といいます。
これから路上運転の教習をするための技術がしっかりと身に付いているのか判断するための試験です。
取得に必要な教習
技能検定を受けるためには、以下の条件を満たしていないと受験できません。
・学科第一段階を修了し、効果測定Ⅰに合格していること。(学科免除者は除く)
・技能第一段階を修了し、「みきわめ」良好であること。
・17歳で入校されている方は、満18歳以上になっていること。
・教習期限が有効期限内であること。
普通車の場合、修了していなければならない第一段階の教習時限数は下記の通りです。
技能(所内) | 学科 | |
---|---|---|
MT | 15時限 | 10時限 |
AT | 12時限 | 10時限 |
※所持免許なしの場合(小型特殊・原付所持も含む)。自動二輪所持なら技能は2時限少ない。
技能検定の採点方法
技能検定の採点方法ですが、持ち点が100点ある状態からスタートし、減点方式で採点されます。
危険行為などがあると減点されていき、試験終了時に合格点を上回っていれば合格です。
合格点は第一種免許は70点、大型と中型は60点、第二種免許は80点です。試験中に合格点を下回ってしまうと、その場で試験は中止となります。
減点には一発で不合格になる検定中止、減点も20点、10点、5点の他にも1回目は減点にならないが回数を重ねるごとに減点が増える特別減点もあります。
ほんの一部ですが、採点項目は下記のようなものがあります。
【減点20点項目】
・逆行(中程度、坂道発進で後ろに下がるなど)
・カーブ前制動が早すぎる、危険な場合
・ハンドルのふらつき(大)
・脱輪
・徐行指示無視
など
【減点10点項目】
・シートベルトを着用しない
・速度未達、速度超過
・安全確認の不確認(発進時、後退時、巻き込み防止など)
・急ハンドル
・急ブレーキ
など
【減点5点項目】
・発進手間取り
・合図をしない、戻さない(発進、車線変更、右左折時などの合図)
・停止位置の前後ずれ
など
【一発で試験中止になる場合】
・発進不能(4回・信号・停止・発進)
・通過不能(4回)
・脱輪(大)
など
仮免の技能検定の課題
仮免の技能検定の課題は、周回コース、直線道路、カーブ、障害物、交差点とその優先判断、坂道発進、踏切通過、S字、クランク、発進・到着時の確認作業、発進方法、停車方法などです。
検定は教習所内のコースを15分程度運転して行われます。走行するコースは検定直前にいくつかあるコースからひとつを指定されます。走行経路は同乗する検定員から指示がありますので事前にコースを覚えておく必要はありませんが、指示があってから考えるよりも、できるだけ覚えておいた方が、予測した運転ができるので良いでしょう。
また検定の際は、公平に行うために検定員の他に一緒に検定を受ける教習生も車に同乗して、順番に検定を受けます。2番以降に検定を受ける場合は、他の教習生の運転する様子をみて、イメージをしてから検定に望む事が出来ますが、1番目に検定を受ける場合は、他の教習生にも見られているのを考えると緊張してしまうかもしれませんが、教習で教わった時の運転を心掛け、落ち着いて運転をすれば大丈夫ですよ。
もし技能検定試に落ちたら?
もし仮免技能検定に落ちてしまった場合は、1時間以上の補習教習が必要になります。補習を受けてから再度検定の予約が必要です。技能検定も再試験の場合は再受験料がかかります。
仮免許の技能検定に合格するポイント
仮免許の技能検定に合格するためには採点のポイントがあります。第一段階で教わったことが身に付いているのかを検定ではチェックされます。それでは合格するためのどのような所に気をつければいいのかポイントを説明します。
車に乗る前は大げさに安全確認する
車に乗る前の安全確認を忘れても減点になりませんが検定員にアピールするためにも、安全確認は必ず行うようにしましょう。
安全確認の方法は以下のとおりです。
1.車体の後方の確認する(車の下を含む)
2.車体の前方の確認する(車の下を含む)
3.後ろから他の車が来ていないか確認する
4.車が来ていなければ運転席のドア横まで移動する
5.ドア横で再度後ろの安全確認する
6.ドアを開けて素早く乗る
右左折の安全確認は最重要
技能検定に合格するために最も重要なのは右左折時の安全確認です。
安全確認を行わないと減点10点なので、検定中に何度も確認が不十分だと減点が重なり、不合格になることもありえます。
左折をする時は、ルームミラーで後方の安全確認をして、問題なければウィンカーを出し、サイドミラー、死角になりやすい左後ろを目視で安全確認を行い、左側に車を寄せて、左折する場所に近づいたら再度、サイドミラーと目視で巻き込みの安全確認を行ってから左折します。
右折も同様でルームミラーで後方の安全確認をして、問題なければウィンカーを出し、サイドミラー、死角になりやすい右後ろを目視で安全確認を行い、道路のセンターラインに車を寄せて、右折する場所に近づいたら対向車の動きに注意して、安全確認ができたら右折します。
自分では正しい安全確認をしていても検定員に伝わらなければ減点されてしまいますので、チラ見程度ではなく、きちんと確認をしていることがわかるように、少し大げさなぐらいに行うのもポイントです。
コース間違いは減点されないため慌てず対応
コースの案内は検定員から指示がありますが、万が一、コースを間違えて左折する所を直進などしてしまっても減点にはなりません。検定員の指示に従って元の道まで戻る事になりますので慌てずに対応しましょう。しかし戻るまでの運転も採点の対象になりますので、できれば事前にコースを覚えておくなど、できる限りコース間違いはしないようにしましょう。
「S字クランク」と「停車」は練習が必要
技能試験での難関のコースが「S字クランク」と「停車」です。
S字、クランクではいま自分がどのあたりを通っているのか車体感覚を覚える事が重要です。
もし縁石に乗り上げ、脱輪しそうになった時は、1回目の切り返しは減点になりませんので慌てずに切り返しを行い、やり直しがしやすい所まで戻りましょう。ただし、バックする場合は安全確認を忘れてしまうと10点減点になりますのでそこは注意が必要です。
停車は、縁石とポールの位置に合わせて車を停止することです。こちらも車体感覚を覚える事が重要です。車の中からの縁石、ポール、白線の見え方を覚えておくとよいでしょう。例えば「白線がこのあたりに見えていたらタイヤがギリギリの所を走っているんだな」など意識しましょう。
練習は「貸しコース」「コース開放」を利用する
「貸しコース」とは、これから技能検定を受ける方や運転が苦手な方などのために、運転練習用のコースを貸しているところがあり、「運転練習場」などと呼ばれる所もあります。
貸しコースでは仮免技能検定の課題が練習できるように、S字、クランク、坂道、信号、縦列駐車・方向変換のスペース、踏み切りなどが設置されていますが、指定自動車学校ではないため、練習コースの設置基準を満たす必要がないので、信号が点滅しているだけだったり、全体的にコースが小さく直線コースが短いということもあります。しかし、そのようなコースでもひととおりの練習ができるので、どうしても教習所以外で練習をしたい場合はこのようなコースで練習してみましょう。ただし、運転練習するには、免許取得後3年以上の人を助手席に乗せるなどの条件があります。
利用料金の相場は1時間程度で2,000円位です。車は基本的には持ち込みですが、貸出をしているところもあり、料金は2,000円〜4,000円程度かかります。
また「コース開放」とは、免許試験場で場内のコースを開放している所があり、そこでも運転の練習をすることができます。こちらも練習するには、免許取得後3年以上の人を助手席に乗せることが必須条件です。
料金は試験場によって異なりますが、東京都の府中試験場の場合、1時限2,200円(内訳:使用料2,000円、損害保険料200円)かかります。
仮免許を受けた人が運転を練習する方法は?
仮免の技能検定、学科試験に合格し、無事に仮免許を取得されたら、路上で運転の練習ができるようになり、車を運転する場合は、資格のある人から指導を受けながら運転しなければ違反になります。資格のある指導者とは、下記の方です。
・指定自動車教習所の教習指導員
・その自動車を運転できる第一種免許を3年以上受けている人(免許停止期間を除く)
・その自動車を運転できる第二種免許を受けている人
万が一、資格のある指導者を同乗させないで練習する等の交通違反を行った場合や、交通事故を起こした場合には、仮運転免許証は取消処分になることがあります。
また運転練習する際は、必ず「仮運転免許証」を携帯し、車両の前後に「仮免許練習標識」を付けなければなりません。こちらも付けないで運転すると違反になります。
標識は下記の用に定められています。
・寸法が縦17cm以上、横30cm以上
・白地に黒で「仮免許」行を改め「練習中」と表記し、一行目の文字の大きさは縦横4cm・線の太さは0.5cm、二行目の文字の大きさは縦8cm × 横7cm・線の太さは0.8cm
・練習車両の前後の見やすい位置に装着する(地上0.4m以上、1.2m以下)
・耐久性のある素材を用いること
また仮免許では運転ができない道路があり、高速自動車国道、自動車専用道路、 著しく混雑した道路では練習できませんので注意してください。しかし自動車教習所の技能教習では「高速道路での運転」があり、これは教習課程として認可されているので運転練習することは問題ありません。
まとめ
仮免許は運転免許を取得するために、路上で運転の練習をするために取得します。
そのためには技能検定、学科試験を受け、無事に合格しなければ、仮免許を取得する事ができません。
取得できて路上での運転の練習をするときも、いくつかの規則、成約があり、それを守らないと違反行為になり、せっかく取得した仮免許は取消処分になることもあります。
また仮免許には、交付から6ヶ月の以内の期限がありますので、取得したら積極的に路上教習を受けて卒業を目指しましょう。
今回ご紹介しました合格のポイントを抑えて、一発合格を目指してください!